ディズニーじゃないピーター

ピーター・パンとウェンディ (福音館文庫 古典童話)

ピーター・パンとウェンディ (福音館文庫 古典童話)

今度もらった仕事のモチーフがピーターパンだというので読んでみた。ピーターパンといえばディズニーの絵柄しか思い浮かばなかったのだけど、もともとはこういう話でこういう挿絵がついていたんだー。イングリッシュだなあ(本当はスコティッシュか)。イギリスの児童文学って難しいなあ。アリスほどじゃないけど、これを小学生くらいのときに読んですんなり分かって面白いと思うのはちょっと難しいように思う。大人の読み物として、私は今読んで結構面白かった。まあもともとは劇作でそれを物語の形にあらためたものだという事情もあるからかもしれないけど。
あと、グインサーガを読んでその次に読んだからかもしれないけど、ピーターってイシュトを思い出させるところがしばしばあった。都合が悪いことはどんどん忘れて自分がこうだと思い込んだことは本当にそうだったような気がしてしまうところとか、血気盛んすぎるところとか、子どもたちには慕われるけどそのうぬぼれのせいで大人に目の敵にされるところとか、いろいろ。栗本薫がイシュトヴァーンの造形に「永遠の少年」「大人になれない子ども」という視点を意識的に持っているのかどうかは知らないが、結果としてはそういう人物像の描写に非常に成功しているっていうことになるのかなあと思った次第であります。以上、滅多なことでは指摘されないであろうピーターパンとイシュトヴァーンの共通点についてでした。